上野で見られるフィレンツェの作品 アンドレア・デル・サルト「聖母子像」

先日、国立西洋美術館の常設展にあるフィレンツェの街並みが描かれた作品を紹介しました。

上野でフィレンツェ?!国立西洋美術館 15世紀フィレンツェ作品
今日は国立西洋美術館の常設展の見学ツアーでした。常設展には15世紀フィレンツェの作品が色々展示されています。この作品、実は背景がフィレンツェなんです!アルノ川にかかる橋、画面左下には大聖堂とブルネレスキのド...

実は結構フィレンツェの画家が描いた作品が常設展にはあります。

16世紀はじめにフィレンツェで活躍したアンドレア・デル・サルトの「聖母子像」もその一つです。



レオナルドやミケランジェロ、ラファエロという三大巨匠がフィレンツェを去った後のフィレンツェの代表的な画家です。門下にはポントルモやロッソ・フィオレンティーノといったマニエリスムを牽引する画家たちが育ちました。

「間違いのない画家」と呼ばれフィレンツェの教会や美術館で彼の作品をたくさん見ることができます。その功績からフランスの王宮にも招かれました。

ウフィッツイ美術館にある「ハルピュイアの聖母」は彼の代表作です。国立西洋美術館にある聖母子像にも同じ筆跡を感じることができます。

デル・サルトの数々の作品のモデルだと言われるのが妻のルクレツィア・デル・フェーデです。国立西洋美術館の聖母子像もそうだと言われています。

しかし、ヴァザーリは芸術家列伝にルクレツィアは不実で嫉妬深く弟子に意地悪だったと書いています。真実のほどは定かでありませんが、文学作品にもなっています。

上がデル・サルト、左がルクレツィア

そんなルクレツィアをデル・サルトは「信仰」の擬人像として描いています。イタリア語で信仰を表す言葉 fede は同時に「忠実」や「貞節」の意味もあります。

不実な妻を「貞節」の擬人像として描く…デル・サルトはルクレツィアの性格を知っていたのでしょうか。想像を膨らませながら見るとさらに面白くなりそうですね。

*ルクレツィアを「信仰」に選んだのは苗字が Fede だから、とも言われています。

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