3/25は受胎告知の日 フィレンツェで見たい『受胎告知』作品

3/25は受胎告知の日 フィレンツェと受胎告知の関係

3/20は春分の日でしたね。この日から昼夜の長さが逆転し、本格的に春が始まります。

カトリックでは3/25は受胎告知の日としてお祝いされます。キリスト降誕の12/25からちょうど9ヶ月後前、フィレンツェでは1749年までこの日が新しい年の始まりでした。

春の陽気のフィレンツェ

受胎告知は美術の世界でもトップ3くらいに描かれる画題です。カトリックでは重要な教義だったということがよくわかります。フィレンツェにも受胎告知を描いた有名な作品がたくさんあります。その中で「これは見ておきたい!」という作品を紹介したいと思います。

フィレンツェで見られる『受胎告知』作品

フラ・アンジェリコ『受胎告知』サン・マルコ美術館

シンプルで敬虔さを感じるフラ・アンジェリコの『受胎告知』

フィレンツェの受胎告知といえばこの作品!といっていいほど有名で人気のある作品です。 この作品は修道院だった建物の壁に描かれています。階段を2階に上がった場所に描かれており、この奥には修道士たちが生活する独房が並んでいます。

ここから先は世間から隔絶され、祈りを捧げる場所です。修道士たちはこの絵を見て改めて心を清め修行に励みました。

素朴さを感じる絵ですが、現代の私たちが見ても心が清められる作品です。この場所で見ることによって感じることができる貴重な作品なので、フィレンツェに行く機会があればぜひ訪れてほしい場所です。

階段の踊り場から見た様子。このアングルは現地ならでは。

ダ・ヴィンチ『受胎告知』ウフィツィ美術館

ウフィツィ美術館に展示されているのはダ・ヴィンチの貴重な初期の作品です。『受胎告知』もその中の1つで弱冠二十歳で手掛けました。

若干20歳で手掛けた『受胎告知』。山のかすみ具合も彼ならではの技法。

伝統的な『受胎告知』に則っており、マリアの前には聖書、天使の手には百合があります。当時は屋外を舞台にした受胎告知は珍しく、草花やその後画家たちの間でブームになったトスカーナの糸杉が描かれており、ダ・ヴィンチの生物への興味を伺うことができます。天使の翼はワシを解剖して描いたことも知られています。

そのほか画法にもダ・ヴィンチらしさが出ています。スフマートという輪郭をぼかす技法や、背景は空気遠近法という遠くのものが霞むように描かれているのもダ・ヴィンチが確立した技法です。

ボッティチェリ『受胎告知(フレスコ画)』ウフィツィ美術館

ウフィツィ美術館のボッティチェリの部屋の中でも大きなこちらの作品。来日もしたのでご存知の方も多いのではないでしょうか?

当時のフィレンツェの部屋の様子。本当はもっと大きい作品。

元々孤児院や貧しい人たちのための病院として使われた教会の壁に描かれていましたが、改修などにより長年作品が見えなくなっていたものをウフィツィ美術館で保管・展示しています。

描かれているのは当時のフィレンツェの上流階級の部屋です。柱に描かれた植物紋様はルネサンス以降のローマ建築の影響。この作品は新約聖書を題材にしていますが、建物や衣装は当時最先端のものが使用されています。

当世風に描かれた受胎告知ですが、やはりここでも重要なカトリックの教義が描かれています。その1つが背景に見える庭です。一見ただの背景画に見えますが、低い塀が庭を囲んでいます。これはマリアの純潔を表しています。ちょっとしたところにも教義が隠されているのが宗教画の面白いところです。

それにしてもいくら神様の使いの天使でもベッドルームに突然現れたらびっくりしそうですね。

受胎告知をお祀りした教会 サンティッシマ・アヌンツィアータ教会

そしてもう一つ、フィレンツェには受胎告知をお祀りした教会があります。サンティッシマ・アヌンツィアータ教会です。

教会も前の広場もとても大きい

アヌンツィアータは「受胎告知」、サンティッシマは「最も聖なる」という意味です。13世紀に創立して以来、メディチ家はじめ多くの有力者たちの信仰を集めました。たくさんの作品が寄贈され、今でも名作として残っています。

メディチ家がこの教会に寄贈品を納めた扉の絵。フラ・アンジェリコが手掛けた。

この教会にももちろん受胎告知の絵が飾られているのですが、奇跡のマリアと呼ばれています。この絵を手掛けた画家がどうしてもマリア様のお顔が描けずに悩んでいたところ、眠りから目覚めたらマリア様の顔が描かれていたという伝説にちなんでいます。天使が描いたといって信仰の対象になっていますが、伝説にたがわず優しいお顔です。

とても優しいお姿。この前でお祈りを捧げる方がたくさんいらっしゃいます。

今でも信仰が厚く世界各地から礼拝に多くの方が訪れます。毎時ミサが開催されているので、鑑賞に訪れる際は観光客用に時間に合わせていかれることをお勧めします。

余談ですが、この教会の入口には『マリアとヨセフの結婚』が描かれており、こちらのマリア様のお顔は画家が気に入らなかったようで、その部分だけはがされています。マリア様のお顔にまつわる逸話の多い教会です。

よく見るとマリア様のお顔の部分だけ剥落しています

最後に・・・

現地に行かないと見れない作品も多くあります。フィレンツェを訪れる際には参考にして、観光に役立ててください。

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