衣装の意匠 服は語る

中村時蔵丈の襲名披露を見てきました。

妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)で主人公の藤原求女に恋するお三輪という情熱的な女性を熱演。早速ファンになりました。

さてお三輪が着ている着物の模様ですが、今でいうところのボードゲームの柄だそうです。子供が遊ぶようなものを着ていることから、物の道理もわからぬ子供という意味が含まれています。観客は着物を見て「少女に等しい女性の役」と認識して観劇したんでしょうね。

西洋美術の世界でも衣装は大きな意味合いを持ちます。語られない言葉が込められています。

例えばこちらの美しい女性の衣装を見てみましょう。

ブロンズィーノ「エレオノーラ・ダ・トレドの肖像」

トスカーナ大公妃エレオノーラ・ダ・トレドの肖像画です。彼女が身につけているのは結婚式の衣装。通りでとても華やかです。

ドレスの正面に金で縫い取られているのはザクロの実です。ザクロには色々な意味がありますが、その一つが多産です。その願いが届いたのか、エレオノーラは11人の子を授かりました。

ネックレスの真珠は貞節を表し、花嫁の衣装によく使われました。

こちらはエレオノーラの肖像画の50年ほど前に描かれたもの。こちらも首元の大きな真珠が印象的です。

ラファエロ「マッダレーナ・ストロッツィの肖像」

それにしてもこれほど大きな真珠、今でも貴重ですが、当時はいくらくらいしたんでしょうね。たくさんの宝石を身につけていることからもわかる通り、真珠をはじめ宝石類は富を表しました。この女性はとてもお金持ちだった、ということがわかります。

一辺倒になりがちな肖像画ですが、衣装やアクセサリーに目を向けると色々メッセージが見えてきます。衣装の意匠に込められたメッセージを読み解いてみてください。

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