観光ガイドの勉強中はフィレンツェの街の外に出なかったので、久しぶりに小旅行に行ってきた。
前から行きたいと思っていたヴェローナ。ロミオとジュリエットの舞台となった街だ。
昔々若かりし日にこの映画を見て憧れたけど、全然違うやん。レオ様も相当若い(笑)
っていうか海ないし。街を流れるアディジェ川。
でもちゃんとミーハーなことはやってきました。
ジュリエットの右胸を触ると恋が叶うそうな。ご利益ありますように♡
有名なセリフ「ロミオ様、なぜあなたはロミオ様なの?」はこのバルコニーから。
ヴェローナの通常の観光を知りたい方は他のブログをどうぞ。
ここからはマニアックなヴェローナ紀行がはじまります。
ロマネスクの教会 サン・ゼーノ・マッジョーレ
イタリアには各都市に守護聖人がいる。私はこっそり「氏神様」とお呼びしている。
ちなみにフィレンツェはサン・ジョヴァンニ、洗礼者ヨハネである。
洗礼堂(一番手前)は彼の名前を冠して「サンジョヴァンニ洗礼堂」である。
ヴェローナの守護聖人はサン・ゼーノ。彼を祀った教会がこのサン・ゼーノ・マッジョーレ。
ヴェローナの記事を書いたときに、マイナーだけどなんとなく気になって行きたかったのがここ。入口からこんなレリーフがあってテンション上がりまくり。
ちなみにこれは旧約聖書の「創世記」ね。
下2段目左から右、そして順に上にストーリーが上がっていく。
- 神様が動物を作る
- アダムを作る
- アダムからエバを作る
- 禁断の果実食べた
- 楽園追放
- First labour of men – 罰として男の人は労働、女性は出産の苦しみ。エバの顔怖すぎ。
単純化された絵が面白い。
ここで注意したいのが、私たちから見て絵が下手に見えても決して下手くそなのではない。当時こういうスタイルであった、ということを覚えておきたい。中世の芸術は「見るための聖書」であり、芸術家たちは神の力で描いているという認識。個性を表現するより、教会が説くキリスト教義に従い、形式から逸脱しないことが重要であった。
回廊の様子。素敵すぎて目が♡になった。
この教会だけでも語るところがありすぎるので、今回はものすごく絞って(?)柱頭だけに集中したい。ロマネスクの教会が大好きなのだけども、理由の一つがこのバラエティに富んだ柱頭。
これは人がしがみついているバージョン。
犬?
ドラゴン。
ここまでが教会の地上階。
ロマネスク教会は3段形式になっていることが多い。
手前の床が地上階、上の部分が聖職者のための部分、下が地下納骨堂。教会の聖人の聖遺物がある。この教会には守護聖人サン・ゼーノの遺体が収められている。
地下納骨堂は教会の基礎
地下納骨堂に聖人の遺骨が収められるのは、教会を支える基礎だから。
教義が物質として現実化されているのである。
地下納骨堂からも柱頭のレポート。
人が踊っている。
またしても犬のような生き物。
こちらはワシ。
ワシは福音書記者ヨハネを表したりする。
こちらはわかりやすく禁断の果実に手を伸ばすアダムとエバ。
ロマネスク様式ではこのようにちょっと不思議なキャラクターを良く見かける。
こちらはフィレンツェのサン・ジョヴァンニ洗礼堂の屋根にいるライオン。人の頭を食べているは、聖書の詩篇の「私を獅子の口から、苦しむ我が魂を救い出してください」というところからきている。中世では罪人に対しての罰を表すとされたらしい。
こんな風に中世の建物には秘密が隠されまくっていて面白い。最後にフィレンツェ近郊の街ルッカからこちら。
迷路が描かれている。クレタ島のアリアドネ姫は英雄テセウスをダイダロスが作った迷路から救う。そんなことが右端にラテン語で書いていある。ラビリントが描かれているのはここと、フランスのシャルトルの床とあともうひとつ。この絵にはどういう意味があるのか。見た通り迷ってもらいたい。
美術には秘密がいっぱい。だからやめられない。
ロマネスクをもっと知りたい方はこちらの先生が詳しく書かれています。
秘密を解くシンボリズム大好き。次回は(元気があれば)閉じられた花園の秘密を取り上げたい。
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