昨年8月にイタリアに行ってきました。
今回の旅行ではピエロ・デッラ・フランチェスカの作品を見て回ることができました。

日本ではあまり知られていませんが、ピエロは初期ルネサンスに大きな功績を残した画家です。遠近法を研究し、ダ・ヴィンチにも大きな影響を与えました。
彼の現存する作品は限られており、各地に散らばっているのが特徴です。今回は少し離れた場所にある作品を観ることができました。
何回かに分けて見てきた作品を紹介したいと思います。
アレッツォの大聖堂に描かれた「マグダラのマリア」
アレッツォはフィレンツェから電車で約1時間。ピエロにも縁が深い街です。

ここの大聖堂に描かれたマグダラのマリアの像はピエロの手によるものです。
どっしりとした感じがピエロの特徴。この特徴は同じ街にあるフランチェスコ教会の聖母マリア像にも通じます。

フランチェスコ教会の壁画「聖十字架物語」
聖母マリアはフランチェスコ教会に描かれた壁画の一部です。
教会の主礼拝堂に描かれる「聖十字架物語」はピエロの代表作。
アダムの死から始まる壮大な物語が物語が礼拝堂の両側の壁に広がります。

ピエロらしい理知的な空間と生き生きとした人物描写はルネサンスの最高傑作の一つと言ってもいいでしょう。
ここに行かないと絶対見られない、圧巻の空間です。

映画の舞台にもなった「聖十字架物語」
ピエロの「聖十字架物語」は映画の有名なシーンにも登場します。
「イングリッシュ・ペイシェント」でジュリエット・ビノシュがロープで引っ張ってもらいながら見るのがこの礼拝堂です。ビノシュの感動とナヴィーン・アンドリュース演じる兵士の想いが交差する感動的なシーンです。
壁画は囲まれながら見るので迫力があるのですが、上の方をじっくり見るのが難しいのが難点です。映画のようにロープで上り下りしながら見るサービスあったらいいな、と憧れてしまいます。
「イングリッシュ・ペイシェント」は第二次世界大戦を題材とした映画です。アレッツォの街も大戦の被害を受けました。ビノシュは従軍看護師、アンドリュースは英国兵士の役です。「聖十字架物語」は無事でしたが、礼拝堂には土嚢が積まれています。
ルネサンスはもちろんですが、近年の歴史も想いを馳せながら鑑賞すると感慨深いです。
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