シェイクスピア「尺には尺を」とラファエル前派

ラファエル前派とシェイクスピアの関係

新国立劇場でシェイクスピアの「尺には尺を」を公演中ですね。

シェイクスピアの問題作と言われ、特に日本ではなかなか上演されることが少ない作品です。

この上演が決まった時に登場人物の名前を見てラファエル前派の作品を思い出しました。
ウィリアム・ホールマン・ハントによる「クラウディオとイザベラ」です。

兄の命と自分の貞操の選択を迫られるイザベラの姿を描いた作品です。

ラファエル前派の主題の特徴

ラファエル前派は古典を重視するアカデミーに反し、自分たちのルーツを重要視しました。
ラファエル前派の作品にアーサー王物語やシェクスピアが描かれるのはそのためです。
その流れがウィリアム・モリスに代表されるアーツ・アンド・クラフト運動にも繋がります。
その後日本でも民芸運動としてバーナード・リーチや柳宗悦、河井寛次郎などが活動しました。


また同時代のロマン主義の詩に着想を得た作品も多く描いています。

こちらは同じハントによる「イザベラとバジルの壺」。ただし、このイザベラは上述のイザベラと別人物です。
ボカッチョの「デカメロン」に着想を得てイギリスの詩人ジョン・キーツが書いた詩を元にしています。

アカデミーと古典について

ではラファエル前派が背を向けたアカデミーはどんな様式を使用していたのでしょうか?
アカデミーが重視したのはラファエロから続くルネサンス様式です。
そしてルネサンスが参考にしたローマ時代をお手本としました。

英国アカデミーの初代会長のレノルズのこちらの肖像画はローマ時代の彫刻ベルヴェデーレのアポロ像を参考にして描いています。

アカデミーは理想の姿、形を描くことを目指しました。
ローマ彫刻は理想の形だったのです。
レノルズは自然ですらそのまま模写するのではなく、キャンバスの上では理想の形に描きなおすべきだと考えていました。

19世紀に入るとこれらの考え方に変化があり、見たものをそのまま描く写実主義や一瞬を捉える印象派に繋がっていきます。

美術を通して世界が広がる

ハントの「クラウディオとイザベラ」を知っていたので、新国立劇場の公演に興味を持ちました。
美術は色々な芸術作品や文学作品と繋がっています。

美術を学ぶことによって知識が増え、世界が広がっていきます。
一緒に美術を勉強して新しい世界を広げていきませんか?

次回の勉強会、美術展見学はこちらからご覧ください。
ご参加お待ちしています。

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